奨学金返済 若者定住へ自治体が助成 UIターン者らを対象に /長崎

奨学金返済 若者定住へ自治体が助成 UIターン者らを対象に /長崎
毎日新聞2017年3月3日 地方版

 奨学金の返済に苦しむ若者の増加が問題になっている。政府は来年度から低所得世帯の大学生らを対象にした返済不要の給付型奨学金を設けるが、県内の市や町では、地元での定住などを条件に、奨学金の返済を自治体が支援する取り組みが広がっている。社会への“船出”を金銭面で支えることで、若者のUターンやIターンを促し、人口減少を食い止めようという狙いだ。

 五島市では来年度から市内に定住する就労者を対象に、最長10年間、奨学金の返済を助成する制度を始める。Uターンした人らには年36万円、Iターンした人には年24万円を上限に助成する。島原市でも4月から「ふるさとにもどってこんね奨学金」を新設する。大学生らに月5万円を貸し付け、卒業後3年以内に市にUターンし、さらにその後5年間就業すれば返済を全額免除する。

 背景にあるのは、人口減少への危機感だ。2015年の国勢調査によると、県人口は10年の調査から約5万人減った。人口減少率は3・5%で、全国で9番目に高かった。五島市の人口減少率は8・1%。市内の高校を卒業する生徒の9割が市を離れて進学や就職し、大学卒業後も多くは市に戻ってこない。担当者は「奨学金返済の助成だけで若者の流出を抑えられるとは考えていないが、五島に戻るきっかけの一つになれば」と期待する。

 ただ、こうした取り組みに効果があるのかは見通せない。佐世保市では、市内の離島で定住し働く人を対象に奨学金の年間返済額の3分の2▽離島以外でも市内の製造業や農業、水産業などで働く人に年間返済額の2分の1--を最長10年間補助する制度を昨年8月に始めた。60人の利用を想定していたが、申請者は2人にとどまる。対象が無利子の奨学金を借りている人のみで、業種も限られていることがネックになり、要件を満たさない人が多いという。来年度以降、有利子の奨学金も対象とするなど、要件を緩和する予定だ。

 県も、今年度から奨学金の返済を支援する事業を始めている。県産業政策課は、各自治体に取り組みが広がっていることに「若者の確保という目的は同じ。周知を進め、互いに補完しながら取り組みたい」とする一方で、「利用状況を見て、制度内容などを精査していく必要もある」とも指摘している。

独自制度で美大生ら支援 波佐見町

 県内の自治体が奨学金返済への支援に乗り出す中、波佐見焼で知られる波佐見町は主要産業である窯業などの担い手を確保しようと、昨年から独自の制度を始めた。「ものづくり奨学金」として、美術系の大学に通う学生を対象に月5万円を4年間貸し付ける。卒業後に町内に住み、大学での学びを生かした仕事に就けば、年24万円分(5年間で最大120万円分)の返済を免除する。昨年12月下旬から1カ月の受付期間に2人から申請があった。町の担当者は「窯業に限らずクリエーティブな仕事の担い手を確保し、町の振興につなげたい」と話している。

島原市