福岡・鞍手町 廃校改めオタクの聖地…コスプレで町おこし

福岡・鞍手町
廃校改めオタクの聖地…コスプレで町おこし
毎日新聞2016年3月17日 14時00分(最終更新 3月17日 14時00分)

9プロモーションビデオの撮影で校庭を走るコスプレ姿の参加者ら=福岡県鞍手町で

 福岡県鞍手町が廃校となった中学校を「オタクの聖地」にしようとしている。昨年から定期的に開催するコスプレイベントには、学園ものアニメなどのキャラクターに扮(ふん)したファンが県内外から参加。校舎の一部をアニメ制作用のスペースとして貸し出すなど若手クリエーターの育成計画も進行中で、町はオタクの集客力に期待を寄せている。【川上珠実】

 2月28日午後、昨年3月に廃校になった鞍手南中学校にコスプレ姿の若者たちが続々と集まった。廃校は、昨年7月から月に数回、「くらて学園」の名称でコスプレファン向けに開放しており、参加者は教室や廊下などを使ってアニメやゲームの登場人物さながらの気分でコスプレ撮影を楽しめる。口コミで人気を集め、毎回100〜200人が訪れる。

 昨年6月、廃校後の跡地利用を検討していた町に福岡市の企画会社役員の重松克則さんが「コスプレなら廃校に人を集められるのでは」と提案して取り組みが始まった。

 11月には内閣府の地方創生先行型事業に指定され、3750万円の助成を受けて水道や電気を整備。校舎の改修も進めている。アニメや漫画を制作するクリエーター向けにスペースを貸し出すことにしており、フィギュアなどを作るための3Dプリンターも購入した。若手育成の一環として他に、作者の了解を得て成人向けではない同人誌約2500冊を旧図書室に収集する計画もある。

 2月28日のイベント時には「くらて学園」を紹介するプロモーションビデオの撮影もあり、希望者約40人がコスプレ姿で校庭を走り、体育館で踊った。ビデオは町のホームページのほか、福岡空港国際線ターミナルでも流し、海外からの観光客にもPRする予定だ。

 少年漫画のキャラクター姿で参加した福岡市の女性会社員(26)は「学校を丸ごと使ってコスプレできる場所は他にないので楽しい」と話し、視察した日本旅行九州営業本部の外国人旅行客担当者は「鞍手町は博多から車で約1時間。コスプレは海外でも人気で、参加できる体験型施設はアピール材料になる」と関心を寄せた。

 町地域振興課の立石一夫課長は「若い女性を多く呼び込めるのがコスプレの魅力。新たな観光拠点を作って町の良さを発信し、ゆくゆくは移住者を増やしたい」と話している。

自治体、続々参入

 コスプレを集客に活用する自治体などは増えている。北九州市は2014年から「北九州ポップカルチャーフェスティバル」を主催して漫画の原画展やアイドルのライブを開催し、昨年は2日間で約17万人が来場。山口県周南市では青年会議所が11年から「SHUNAN萌(も)えサミット」を開き、漫画家のトークショーや、アニメキャラクターのシールやイラストで装飾した車「痛車(いたしゃ)」の展示会を行っている。

 老舗ボウリング場「大橋シティボウル」(福岡市)で、コスプレ姿でボウリングを楽しむイベントを運営している「福岡アニメイベント企画」(福岡市)代表の古賀丈稔(たけとし)さん(39)は「何かに熱中できる強いパワーを持っているのがオタク。面白い取り組みはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて拡散し、遠方からでも仲間が集まる。彼らの情熱を地域の活性化に活用する取り組みは今後も広がるだろう」とみている。

福岡県鞍手町