成長領域で戦うには、非市場戦略が欠かせない

成長領域で戦うには、非市場戦略が欠かせない

 筆者がウーバーやエアビーアンドビーなどの各国における事業創造を調査する最新の研究に関して話を聞いてみると、競合するサービスとの市場競争よりも、政府や業界団体などとの交渉ややりとりなどにおける非市場戦略が研究者の注目を浴びていると言います。

 例えば、エアビーアンドビーはサンフランシスコで同社の成長を阻害する可能性のある法案に対して反対するために、8百万ドル(約9億6千万円)の予算を投じて、政府と交渉する有能なロビイストと契約するだけではなく、400人のボランティアスタッフを動員して有権者の戸別訪問をするキャンペーンを展開しました(注3)。

 さらに過激ともいえる体制を構築しているのはウーバーです。ウーバーは2015年6月の段階では、米国だけでも少なくとも29社、250人のロビイストと契約しており、全米で政府機関や政治家や利害関係社に対して自社の事業の成長を支援するように交渉を続けています。2015年6月の時点でウーバーの従業員は約3000人と言われていました(注4)。その会社が、売上高でみて米国最大の企業であるウォルマートを上回る250人ものロビイストを活用している事実は、同社が非市場戦略に命運を賭けていることを示しているかと思います(注5)。

「市場戦略」だけでなく「非市場戦略」も大切に

個々の企業もルールづくりに関与する姿勢が大切だ。日本企業は市場原理に則って戦う「市場戦略」に十分な関心を払っているが、市場外の力を使う「非市場戦略」については無頓着だ。ルールづくりへの参加は、企業にとっても重要な非市場戦略のひとつ。業界団体への協力や公的機関への働きかけといった非市場的な動きも、仕事の一環として位置づけて積極的にやっていく必要がある。