コールセンター、熊本市に続々 誘致に補助総額30億円

コールセンター、熊本市に続々 誘致に補助総額30億円
2015/10/15 10:31日本経済新聞 電子版

 コールセンターや事務系アウトソーシングセンターなどが相次いで熊本市に進出している。今年度は既に6件で、過去最高だった2014年度に迫っている。熊本市の女性比率は全国の政令市で2番目に高い。大都市圏で人手不足感が強まるなか、事務系の職場に適した女性の多さが注目されており、市も企業誘致に力を入れている。

 「幅広い世代に優秀な女性が多い熊本市はコールセンターの好適地」。コールセンター事業を手掛けるサウザンドクレイン(東京・豊島)の高橋良太社長は市内に進出した理由をこう語る。

 同社が12月に立ち上げる「熊本センター」(仮称)は同市中央区にあるオフィスビル11階部分の約半分(約495平方メートル)を占める。通信販売の業務を請け負う予定で、投資額は5千万円。高松、福岡に次いで3カ所目の地方拠点になる。来年10月までに地元で100人を新規雇用する計画。2~3年後には200人以上に増やしたい考え。雇用者全体のうち9割を女性と想定している。

 同社のセンター開設により、熊本市がコールセンターなど「オフィス系」と呼ぶ企業の立地件数は15年度現在で6件になる。過去最高だった13年度と14年度(両年度とも7件)に迫る。

 同市がコールセンターなどから進出先として注目される背景には、大都市圏での人手不足がある。

 7月から市内で損害保険の問い合わせ業務を始めたソニー損害保険・熊本コンタクトセンターの山田晃嗣マネージャーは「東京や札幌のコールセンターは競合が激しく、人材の奪い合いが続いている。熊本では安定して人材を確保できる」と話す。

 同拠点では60人で業務を始め、10月には100人規模になった。一方で200人だった東京コンタクトセンター(東京・大田)は今、約160人の規模になっている。

 さらに、同市には女性が多いという特徴もある。福岡商工会議所が国勢調査から全国の政令市の女性比率(10年度)を調べたところ、熊本市は53.12%で全国2位。1位の札幌市(53.13%)に次いで高かった。熊本では大卒理系を中心に男性が就職などで市外へ流出する傾向が続いており、女性の労働力人口が比較的多い。

 熊本市もこうした点に着目。11年に九州新幹線の鹿児島ルートが全線開通して交通アクセスが改善したことなどをとらえ、同年に企業立地推進室を立ち上げてオフィス系企業の誘致に力を入れている。企業立地の補助金は総額30億円で、「全国の政令市でトップ級」(企業立地推進室)という。全国の自治体では珍しいオフィスビル建設の補助制度もある。「女性に活躍の場を広げて市の中心部を活性化する」(同)のが狙いだ。

 いまや女性の活躍なくして熊本市の経済や社会は成り立たない。ただ、これからも熊本経済がバランスよく発展するためには、男性人口の流出に歯止めをかける仕掛けも必要といえそうだ。

熊本市